2025.07.03
2025年6月の金相場は、地政学リスクの急激な高まりとFRBの政策動向、さらに為替の円安進行といった複合的な要因により、大きな値動きを見せました。
上旬(6月2日)には16,886円を記録し、その後は中東情勢の緊張や円安進行を背景に上昇を続け、6月16日には17,508円と月間最高値をつけました。
しかし中旬以降は、米FRBのタカ派的な発言や中東情勢の沈静化を受けて金が売られ、月末の6月30日には16,618円と月間最安値となっております。
本コラムでは、2025年6月の金相場の変動を支えた要因と背景をわかりやすく解説いたします。金の売却や質預かりを検討されている方は、ぜひご参考ください。
以下は田中貴金属工業株式会社の公式サイトをもとに作成した、2025年6月の店頭買取価格(税込・円/g)の一覧です。
※最高値は6月16日(★)、最安値は6月30日(☆)
日付 | 買取価格(円/g) | 備考 |
---|---|---|
06.01 | - | |
06.02 | 16886 | |
06.03 | 16938 | |
06.04 | 16958 | |
06.05 | 16938 | |
06.06 | 16958 | |
06.07 | - | |
06.08 | - | |
06.09 | 16819 | |
06.10 | 16871 | |
06.11 | 16953 | |
06.12 | 17047 | |
06.13 | 17127 | |
06.14 | - | |
06.15 | - | |
06.16 | 17508 | ★最高値 |
06.17 | 17307 | |
06.18 | 17286 | |
06.19 | 17195 | |
06.20 | 17176 | |
06.21 | - | |
06.22 | - | |
06.23 | 17317 | |
06.24 | 17152 | |
06.25 | 16956 | |
06.26 | 16975 | |
06.27 | 16859 | |
06.28 | - | |
06.29 | - | |
06.30 | 16618 | ☆最安値 |
6月中旬、イスラエルによるイランの軍事施設への攻撃が報じられ、さらに米国も攻撃に加わったことで、中東地域の緊張が一気に高まりました。これを受け、投資家は安全資産である金への買いを強め、金価格は急騰しました。
実際、6月13日には1オンスあたり3467ドル(前日比+1.9%)の高値を記録し、6月16日には店頭買取価格が17,678円と最高値をつけています。
このように地政学リスクが表面化した場面では、いわゆる「有事の金買い」が鮮明に表れた格好です。
その後、6月24日にトランプ米大統領がイスラエルとイランによる「暫定的な停戦合意」をSNS上で発表すると、金価格はやや下落に転じました。
市場では安全資産としての金の必要性が一部後退し、24日には金価格が一時3350ドルを割り込む場面もありました。ただし、依然として高水準を維持しており、下値は限定的でした。
地政学的なリスクだけでなく、為替の影響も大きく表れました。6月後半、米国FRBが年内の利下げを1回にとどめるとの見通しを示したことで、ドル高・円安が進行。
さらに、日銀の植田総裁が「緩和的な政策を維持する」姿勢を崩さなかったことで、ドル円は一時147円台まで円安が進みました。
この円安傾向が国内金価格の下支え要因となり、国際価格の調整があっても、円建ての買取価格は大きく崩れにくい状況となっています。